東赤石山 2014.11.15



法皇山脈。

燧灘を岩襖のように囲む、伊予国宇摩の山である。

その連なりの頂点に東赤石山がある。

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話は京に移る。

東山七条の南、蓮華王院のことである。

三十三間堂と呼ばれ、千一体の観音像を蔵するその長堂は、後白河法皇の造営と伝わる。

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8:26、筏津登山口出発。




後白河院は、源平の威勢を巧みに操り、危うい均衡の上に権勢を保持した異色の法皇である。

かの長堂も平家に造呈せしめたものである。

往時、平家の勢力下にあった伊予国宇摩は、清盛を通じ法皇に産材を供した。

民はこれを誇りとし、この山々を法皇山脈と崇称した。

宇摩の民の可憐なまでの素朴さが伺えるのである。

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↑↑↑↑↑ 伊予の秋山である ↑↑↑↑↑
「伊予の秋山」と言えば「坂の上の雲」である。
ゆえに司馬寝太郎気分でレポしているのだ。




筆者の前に赤石山への標識が現れた。

東西にこだわることなく、ただ赤石山とある。

駘蕩とした伊予の風土がそこにあった。

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9:14、瀬場谷の渡渉点通過。




蛇。

この奇態なる生物。

その姿は生命体として単純に過ぎ、鮮烈ですらある。

ゆえに古来より悪の象徴として忌避され、あるいは生命の象徴として崇拝された。

その紋様に象られた鉱物がある。

蛇紋岩である。

東赤石山はそれよりなる。

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現代の山を旅する者にとっても、蛇紋岩は崇拝と忌避の対象である。

この岩が産む土壌は、往々にして稀少な花畑となる。

一方この平滑な岩は、しばしば山を旅する者を転倒せしむ。

濡れた蛇紋岩。

それは韃靼の凍土のごとく、旅人に山の厳しさを教えるのである。

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筆者は蛇紋岩の沢道を慎重にたどった。

いつしか、赤い大岩が重なる道となっていた。

知らぬ間に沢を離れていたのだ。

筆者の思いは過去を駈け廻っているのである。

文久二年、竜馬は土佐を脱し、長州へ向かった。

竜馬がゆく道も、かように燃ゆるがごとき道であったか。

そうした絵巻物のような想像は、筆者に許されようか。

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文明は大河より生まれ、樹が育くみ、いつしか砂に滅ぶ。

今、周辺の光景は、沢を過ぎ、疎林へと転じつつある。

この「街道をゆく ~東赤石への道」も、程なく終焉を迎えるであろう。

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道の吹き溜まりが白い。

雪が現れた。

伊予の秋山から紡ぎ出したこの紀行。

雪の訪れをもって擱筆するのがよかろう。

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旅路が果てようとしている。

終の頂きへ繋がる稜線は、霧氷に彩られていた。

まことに小さき国の開花期に、黒船の蒸気より生まれた霞。

いつしか丘に運ばれ、坂の上の雲となった。

やがて歴史の風に吹かれ、歴史の闇に凍り、今、眼前の松ヶ枝に結晶している。

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この結晶の輝き。

これこそ、この国の希望のかたちなのである。

11:03、東赤石山にて。 了。

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司馬遼太郎気分で、レポしてきたが、もう無理じゃ。

やめやめ!

いつもの寝太郎に戻るぞ。

さらば、司馬遼太郎。

こんにちは、ビバ!寝太郎!

楽しく歩き、楽しく語ろうではないか。



東赤石山からの眺めは最高だった。

瀬戸の海に浮かぶしまなみ。

燧灘に沿って、香川県まで見渡せた。

そのせいか、うどんがいつもより美味かった。

ビバ!うどん県!

ビバ!寝太郎!

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12:05、西隣の八巻山へ向かった。

「街道をゆく 第八巻」はこの道だったかな?

そんな訳はない。

「はっかんやま」でなく「はちまきやま」と読むのだ。

そんなことを考えていたせいで、何度もコケた。

メチャクチャすべるぞ。

薄雪の蛇紋岩は、摩擦係数マイナス273!

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帰宅後調べたところ、第八巻は熊野古座街道でした。



八巻山への登り返しは、岩稜の道だった。

ペンキマークみたいな岩の紋様が沢山あって、とても紛らわしい。

しかし、ゴツゴツした岩稜歩きは超楽しい。

ビバ!ロック!

ビバ!寝太郎!

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12:33、八巻山到着。

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八巻山の先も、イカメシい岩の道だ。

どこが道なのかよく判らない。

だけど、どこに進んでもなんとかなる。

自由なアスレチックみたいで超楽しい。

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ビバ!ロック!

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ビバ!ロック!

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ビバ!ロック!

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ペンキマークみたいな紋様と本物の赤テープ。




ビバ!ロック!

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ようやく岩の道が終わった。

岩の道を指す看板には悪路とあった。

「楽路!」にしてやろうと思ったが、イタズラ書きはマズい。

おとなしく、赤石山荘方面へ下った。

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13:47、赤石山荘到着。

山荘に「四国赤石山系物語」(安森滋著)の広告看板があった。

なんと全1035頁とある。

司馬先生に迫る、超大作ではないか!

わが「街道をゆく ~東赤石への道」は全11頁。

そこで完全に筆が止まってしまった。

安森先生、脱帽です。

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岩場を満喫した後、瀬場谷の道を一目散に下った。

15:31、筏津登山口に到着。

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東赤石山は四国随一の高山植物の山である。

花のない秋に行っても楽しめないと心配していた。

しかし、杞憂であった。

赤い紅葉、赤い岩稜がとても楽しかった。

それら以上に赤いモノがあるので、最後に注記しておく。

わが「街道をゆく ~東赤石への道~」である。

真っ赤な嘘っぱちだらけである。

間違っても引用せぬよう気をつけてほしい。
(これこそ杞憂だけど。)


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この記事へのコメント

ポンちゃん
2014年11月22日 12:43
ヨカ!
最高!!
チョベリグ!!でした
ポンちゃん
2014年11月22日 18:48
こんばんは
追加コメです^^;
メチャ楽しそうな山ですね。
菜の花の沖から四国を遠望し、翔ぶが如く、寝太郎が行く!ブログ堪能いたしました。
まさに新境地ですね!
蛇紋岩の山は木が育ちにくく、おかげで珍しい花が多く咲くようです(九州では、天山、本州では谷川岳)
是非行ってみたい山が増えました!
けいこたん
2014年11月22日 21:23
寝太郎さん、こんばんは。
岩、また岩の山で寝太郎さんがたのしそうです。(^^)
Rack'n Rollはうけるー!
四国にはこんな山があるのですね。
仮想体験させていただきました。(^^)


2014年11月22日 22:11
ポンちゃん様。こんばんは。
記事に書いたとおり、花の山に秋に行ってもなぁ、と思っていたのですが、メチャ楽しい山でした。意外でした。
また、自己満足のこの文章は、読む人には楽しめないだろうなぁ、と思っていたのですが、堪能頂いたとのこと。意外でした。
そして蛇紋岩の山情報ありがとうごさいます。天山ですね。研究しようと思います。
2014年11月22日 22:22
けいこたん様。こんばんは。
四国の山を語るほどの知識はありませんが、石鎚山地・法皇山脈のロングトレイルは、かなり良いようです。岩稜あり、笹原あり、シコクシラベの林ありetc
特に海を見ながら稜線歩きができるのは、知床とこの辺り位ではないでしょうか。
次の記事もそのトレイルの山なので、仮想体験してみてください。

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